奈良先端科学技術大学院大学 凝縮系物性学 大門 寛 |
日時: 2009.03.16 20:29
[分野・研究室名称] 奈良先端科学技術大学院大学・物質創成科学研究科・物質創成科学専攻・凝縮系物性学講座 大門 寛 教授 [研究内容紹介] 当研究室では、固体表面における原子やナノレベルでの物性を研究している。物質はナノメートル以下のサイズになると、通常とは異なる性質を示すようになる。それらは原子レベルで自由に組み立てられる新しい微小物質であり、省資源・省エネルギー・元素戦略・ナノテクノロジーに必須な新材料である。二次元光電子分光器(DIANA)や世界最大の超高真空複合解析システムなどオンリーワンの装置が稼働しており、新奇な電気伝導度や磁性を示す表面物質の原子構造や電子構造を総合的に詳しく研究することが可能なのは世界でも当講座だけである。 原子構造解析には、文部科学大臣表彰などを受賞した「原子配列の立体写真法」、走査トンネル顕微鏡(STM)、反射高速電子回折(RHEED)、光電子回折・ホログラフィーなどを駆使している。電子状態解析には、DIANAを用いた「エネルギーバンドやフェルミ面の3次元マッピング」、「バンドを構成している電子軌道の解析」、また超高分解能分析器SES2002を用いた「ホールサブバンドの直接観測」などのユニークな研究を行っている。SPring-8や立命館大学SRセンターなどの放射光を用いることも特徴である。結晶表面での低分子の吸着・分解過程の研究は、STM、AES、LEED、TPDなどで原子レベルで総合的に調べている。また、広角対物レンズ立体視光電子顕微鏡の開発や、原子層ごとの磁性や電子状態の研究ができる「回折分光」の開発など、新装置・新手法の開発も盛んである。 [代表研究成果] 1. Atomic-Layer Resolved Magnetic and Electronic Structure Analysis of Ni Thin Film on a Cu(001) Surface by Diffraction Spectroscopy, F. Matsui, and H.Daimon et al. Phys. Rev. Lett. 100, April (2008) 207201. 2. Stereoscopic Microscopy of Atomic Arrangement by Circularly Polarized-Light Photoelectron Diffraction, H. Daimon, Phys. Rev. Lett. 86, 2034-2037, March (2001). 3. Iron silicides grown by solid phase epitaxy on a Si(111) surface: Schematic phase diagram, K. Kataoka, and H. Daimon et al. Phys. Rev. B 74, 155406, October (2006). 4. Atomic-orbital analysis of the Cu Fermi surface by two-dimensional photoelectron spectroscopy, F. Matsui, and H. Daimon. Phys. Rev. B 72, 195417-1-5, November (2005). 5. Visualization of in-plane dispersion of hole subbands by photoelectron spectroscopy, S. Nishino and H. Daimon,et al. Phys. Rev. Lett. 94, 037401-1-4, January (2005). [大学院生へのメッセージ] 研究者・高度技術者になろうという意識の高い人を求めている。そのために、実験以外にも習得しなければいけないことを教育している。知識を深めるための積極的な勉強、独創性の鍛錬、実験技術を高めるための工作・制御・データ解析などの技術の習得、研究室の仲間との協調性、などである。卒業までに何か一つ装置の改良や作製をさせるようにしている。セミナーや輪講でシステム的に教える他に、スタッフが日常的に教育している。 研究室の中だけではなく、学内外の研究者との交流も大切である。いくつかの学外の研究者とは共同研究を行っており、SPring-8、立命館大学SRセンターなどの放射光共同利用施設や、諸外国にも積極的に行かせている。英語に慣れるために、セミナーでは英語論文の発表の他に報告も英語で書かせている。 [研究室訪問について] 研究室訪問は随時受け付けている。メールで問い合わせて予約すること。 [大学院生の修学・就労について] 研究室の休日:土日、祝日、盆、正月。アルバイト:可能 社会人大学院生:可能。社会人の博士後期課程入学も歓迎しています。 [分野ホームページアドレス] http://mswebs.naist.jp/LABs/daimon/index-j.html [連絡先メールアドレス:担当] daimon@ms.naist.jp [その他] 論文発表がいくつかある実績ある社会人は、一年で博士後期課程を短期修了できる制度もあり、歓迎しています。
|
|
|